に反応

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キーワードに反応せよ

 とりあえずテレビ、新聞、雑誌で話題になっているニュースを例にとろう。

 ハワイのホノルル沖でアメリカの原子力潜水艦グリーンビルが、愛媛県の宇和島水産高校の実習船えひめ丸と衝突して九人が行方不明になるという悲惨な事件が起きたばかりである。しばらくすると、原潜には十六人の民間人が体験航海に参加し、うち二人が浮上訓練の際に操舵席に座り浮上レバーを操作していたことが明らかになってきた。

 冷戦が終わり軍事予算が削減され、原潜の数も減らされかけている。したがって米海軍はその存在を納税者にアピールするため民間人を招待した。ここまでは詳しく報じられた。この民間人らはどんな人びとなのか、という説明はほとんどされていなかった。仔細に読むとわずかに、戦艦ミズーリ保存会のメンバー、と報じる記事もある。

 この戦艦ミズーリに反応できるか否かが勝負なのだ。

 戦艦ミズーリという名称、どこかで聞いたことがないか。歴史的な知識がなければ、これがキーワードである、という認識に至らない。したがって先へ進めない。少なくとも高校を卒業していれば、戦艦ミズーリがどんな場面に登場したか、知っていなければならない。日本史の教科書に、一九四五年(昭和20年)九月二日、戦艦ミズーリの甲板上で降伏文書に調印するマッカーサー連合軍最高司令官と日本側全権の外相重光葵(しげみつまもる)と参謀総長梅津美治郎の写真が必ず載っているからである。そうであれば歴史的背景からこの事故の真相を見極めなければならない。

猪瀬直樹『小論文の書き方』文春新書
小論文の書き方 (文春新書)

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