やっぱりこれに限るよ

やっぱりこれに限るよ

文学探偵」タカハシさん登場

 まず最初に一つはっきりさせておきたいのだが、タカハシさんはベストセラーの味方である。『窓ぎわのトットちゃん』には心底感動したし、誰よりも先に吉本ばななさんの小説の素晴らしさを訴えたのもタカハシさんであった。スピルバーグ監督作品は全部見ているし、宮崎駿のアニメに至ってはどれも公開初日に劇場に赴いて観覧しているぞおそれいったか、なのである。東でアムロの歌がベストワンになれば、いってちゃんと覚えてカラオケで歌い、西にプリクラが流行ればイヤがるシマダマサヒコさんを無理矢理拉致して一緒に撮り、北でたまごっちに人気があると知れば、あらゆる手段を使って手に入れ、「なんでいぬっちにならずにおやじっちになるんだ! それぐらいならカラジッチになれ!」と叫び、スーファミ・プレステ・セガサターン・ゲームボーイまでなんでもやってみて飽きると「やっぱりこれに限るよ」とファミコンに戻る。幼少時の「鉄腕アトム」以来、タカハシさんの好みは常に最大多数の人たちと同じであった。つまり、タカハシさんは単なるミーハーのまま年をとってきたのである。

高橋源一郎『文学なんかこわくない』朝日文庫
文学なんかこわくない (朝日文庫)

文学なんかこわくない (朝日文庫)