エクレシア

エクレシア

 ギリシア語「教会」の意。

「復活」したイエス

1 エルサレム共同体の誕生

神の民の全体集会

 エルサレム共同体については、彼らが自分たちの共同体を「教会」という名で呼んでいたことも重要である。「教会」はギリシア語では「エクレシア」であって、このギリシア語は「集会」を意味するごく一般的な語である。日本語でも同様だが、多くの人が集まっているだけでは「集会」ではない。何らかの公的な目的をもって多くの人が集まっている場合、「集会」が成立していることになる。古代の町で何か重要なことを伝えたり決めたりするために人びとが集まれば、これが「エクレシア」である。

 しかもこの「エクレシア」という語は、ヘブライ語から訳されたギリシア語聖書で、ヘブライ語聖書とならぶ権威をもっていた「セプトゥアギンタ」(七十人訳聖書)において、神の民の全体集会を示す「クハルー・ヤーヴェ」という表現の訳語として用いられていた。

 したがってエルサレム共同体は、自分たちの共同体を「神の民の全体集会」と位置づけていたことになる。ユダヤ人指導者たちによって管理されているユダヤ人社会にたいして、自分たちこそが「神の民」であると主張したのである。

 つまり地上で神の権威を代表しているとする「民」が二つ存在していることになる。ここにも、ユダヤ人指導者の権威を根本的に退けて、復活のイエスの権威を認めるというエルサレム共同体の立場が主張されていることになる。

加藤隆『新約聖書の誕生』講談社選書メチエ
『新約聖書』の誕生 (講談社選書メチエ)

『新約聖書』の誕生 (講談社選書メチエ)