カントパーニ

カントパーニ

 道は矮小な植物しか生えていない荒れ地を曲がりくねって通る。人っ子ひとり見えず、不気味な静寂を破るのはたまの鴉の鳴き声だけだ。鴉が通りすがりに空中でとまって君を観察しているように感じられ、見ただけで不安を覚える。小さな丘を越えるが、その頂からは道が、シャムタンティ山脈のふもとの小さな集落へと下っていくのが見える。道なりに歩いて村に近づくと、ざわめきや気配が感じられ、無人ではないことが分かる。道は村をまっすぐ通り抜けるので、君としてはそのまま進むしかない。

 丸みを帯びた小さな家々は、鮮やかな色の土を固く焼いて、茅葺き屋根を乗せたものだ。君が通ると、暗い戸口に目が光り、一挙手一投足を見張っている。ふいに、家の一軒から村人が姿を見せ、君の前に立ちはだかる。身長五フィート(約一メートル五〇センチ)、太い腕を持ち、腿はぼろぼろの膝下ズボンを形ばかりまとっている。眼は大きく見開かれ、長くて赤い髪と髭がもつれた針金のようになって顔から目立っている。「とまれ、よそもの!

」男は命じる。「カントパーニに何の用だ?」と言う。何と答える?

スティーブ・ジャクソン/浅羽莢子『シャムタンティの丘を越えて』創土社

「下の道はエルヴィン谷を通る」と教えてくれる。「エルヴィンを相手にする用意があるなら別だが――なにしろ悪戯好きで魔法が使えるから――この道は避けたほうがよいな。上の道は山を登って、シャンカー鉱山のそばを通る」そして笑ってつけくわえる。「だがこっちの道を通るならいつも冷静でいることだ! まっすぐ進めば、二日もすればクリスタタンティに着く。シャムタンティ山地にはよそものを歓迎する村は少ないが、クリスタタンティでは、少なくともめしと宿にはありつけるはずだ。途中、黒蓮に用心しろ――いい匂いが命取りになるぞ」そこで君は礼を言い、まっすぐ進み続ける。

スティーブ・ジャクソン/浅羽莢子『シャムタンティの丘を越えて』創土社