グアーシュ

グアーシュ

コラム 有名な酒

グアーシュ オークのエール酒。もし胃壁を大事にしたいなら、飲んではいけない。

M.ガスコイン編安田均訳『タイタン』社会思想社

オークの単純な生活習慣

 飲み物に関しては、オークは自分たちを最高の酒造りだと思っている。ただ、オークのエール酒は非常に強いので、人間にとっては致命的な毒とほとんどおなじことになる。オークの一番好きな酒は”グアーシュ”とよばれるすごいカクテルで、一部のものはこれを”ヒューグ”ともよぶ。こうした名前は、これを飲みすぎた者が出すゲップのような音にちなんでいるとしか思えないのだが、あるいは、もっと趣味のよい説明があるのかもしれない。どうやら人間にはこの酒は、コケだらけの洞窟の壁を、鼻に何匹かのゴキブリを詰めてなめたときのような味がするらしいが、もちろんこれは、それを試してみたという者を知っているだれかから聞いた又聞きである。確かなことは、これが緑がかったピンク色をしていて、鉛で縁どりされた樽に入れられているということだ。木だけだとかじられてしまうからだ。それでも、オークたちからみればグアーシュは軽い弱い酒で、いい味を出すには何年かねかせておかないといけないのだそうである。そして、ねかせ酒というからには、中になにか大きな固まりが浮かんでいなければならない――ということなのだが、その大きな固まりが何なのかは、いまのところ不明である。

M.ガスコイン編安田均訳『タイタン』社会思想社