サルマガンディー

サルマガンディー

スリモンの軽食屋台

 街を歩く冒険者が何か軽いものが食べたくなったときは、スリモン・ルードの屋台に立ち寄れば、栄養満点で安い食べ物にありつけます。

”スリモンの軽食屋台”は、色とりどりに飾られた手押し車で(長さ一・二メートル、幅七六センチ)、魚や船や海の怪物の模様のついた大きなかさがついています。スリモンは、ペットのクモザル、スキーボをつれて、”サルマガンディー! おなかいっぱい、あっったまるよ!”と、がらがら声をはりあげながら、屋台を引いて街中を歩きます。

 サルマガンディーは、こまかく刻んだ肉や魚、大量のタマネギにいろいろな香辛料の入った濃いシチューのような食べ物です(材料は、スリモンの気分しだいで変わります)。屋台にはいつも、サルマガンディーの入った三つの深い鉄鍋が載せられています。これらの鍋は、屋台の上部にはめこんであります。それぞれの鍋の下は石炭を燃やすかまどになっているので、サルマガンディーはいつもほかほかと湯気をたてています。スリモンのサルマガンディーの味は、甘口、普通、辛口(激辛!)の三種類です。銀貨一枚で、客は好みのサルマガンディーを、硬い厚切りのパンにたっぷり載せてもらえます。パンは屋台の横にぶらさがっている木の箱に入っていて、そのつど切りわけます。

 ぴりっと辛いサルマガンディーを流しこむのに、三種類の飲み物が選べます。ジンジャービール(銅貨三枚)、赤ワイン(銀貨一枚)、スリモン手製の有名なグロッグ酒(銀貨三枚)です。スリモンのグロッグ酒は、コップ一杯で、大ジョッキ一杯のラム酒を飲んだときと同じほど酔いがまわるので、とくに大酒飲みの客に人気があります。飲み物はどれも、屋台の下の棚にある大きな水さしに入れてあり、屋台のへりに打ちつけたくぎに、ブリキのコップがかかっています。コップは、使ったあとはスリモンに返さなければなりません。スリモンは、客の使ったコップを受けとって、水さしと同じ棚にのっているバケツの水で洗います。

 スキーボは、まわりの人にじゃれかかったり、お金を受けとったり、スリモンが大きな水さしから酒をつげるようにコップをさしだしたりして、主人を手伝います。スリモンもスキーボも、街の住人にとても人気があります。特に、子供たちはスリモンの呼び声をまね、スキーボのしぐさに笑いながら、いつも屋台のあとをついて歩いています。スリモンはいつもポケットにキャンディーをいっぱい詰めこんでいて、子供たちにくばってやります。

L.ディティリオ編安田均訳『シティブック』社会思想社