スタート!ダンジョニア

スタート!ダンジョニア

スタート!

 える手をとめようと歯をかみしめ、ウルリク・ウルフスベインは、巨大なロングソードを鞘から静かに引き抜いた。ルーン文字を刻まれた刃は、秘めた魔力にゆらめくかのように、不気味な光を帯びている。すべての本能をはりつめて、隠れた危険を警戒しつつ、その蛮族の男は前へにじり寄っていく。極度の集中に神経を高ぶらせながら、胸壁の縁に達すると、彼は、この世のものならぬ自らの守護神に最後の祈りを捧げ、秘められた環状石を見下ろした。


 環の中心にあるものを認めて、彼の緑色の瞳は大きく見開かれる。きらめくたいまつの灯りは彼の視界を歪め、足元の眺めをゆらめく幻影で満たす。しかし、長い旅を通して探し求めたものをとうとう見つけ出したことは疑いない。クールのひすいから彫り出されたその像は、巨大な花崗岩の台座の上で、小さく、取るにたらないもののように見えた。しかし、ウルフスベインは、像の持つ恐るべき邪悪な力を十分すぎるほど知り尽くしていた。その力は、愛するアランシアの地に、いまいましい飢餓と衰退をもたらしたのだ。


 剣をくわえると、ウルリク・ウルフスベインは、縁から身を垂らし、奈落へと伝い降り始め……カット!

M.ガスコイン P.タムリン著 安田均訳『ダンジョニアRPG』(上)社会思想社