スラングとタニットの僧侶

スラングとタニットの僧侶

 スラングとタニットの僧侶


 カーカバード東部、カーレの奇怪な神は、やはり同様に奇怪な僧侶に信仰されている。悪意の神スラングに仕える彼らは、鮮やかなオレンジに染めたローブに身を包み、頭を剃りあげている。また、他の聖職者と異なり、つねにさまざまな武器や拷問道具をもっている。それというのも、彼らの教義には、非信者を徹底的に憎み、暴力をふるえという教えがあるからだ。かくして、他の寺院を焼き、多くの無辜の、あるいは、そう無辜でない市民を殺すために、会衆に松明が手渡される。すべてはこの神の教えるところなのだ。

 タニットの尼僧は、もっと手のこんだ方法を使う。複雑な陰謀や注意深く練られた仕掛けを通して教義を実践するのだ。礼拝では、彼女らは女神とおなじローブを着る。そして、通常のいわゆる共同社会内で、夫や妻、恋人たちにそれとなく嫉妬と妬みのためを巻いていく。これが、人々の仲を裂き、欲求不満をつのらせ、愛と現世の幸福を説く女神アスレルの僕の行為を覆していくことになる。

M.ガスコイン編安田均訳『タイタン』社会思想社