トレパニ

トレパニ

 もう午後もおそい、次の丘の頂を越えると眼下に村が見える。道は村へと続いており、トレパニにはいる以外に選択の余地はない。

 トレパニに住むのは、見たところ好戦的な人(ひと)オークの一種であるスヴィン族だ。だが村に入るとすぐに、憂鬱な空気がたれこめているのがはっきりわかる。スヴィンは君に目もくれず、君は村の中央にある切り株に腰掛け、思い悩んでいるふうの村人を眺める。

スティーブ・ジャクソン/浅羽莢子『シャムタンティの丘を越えて』創土社

 君は話し込んでいるスヴィンの一団に近づき、相席する。友人の話をしているようだが、どうやら夜中に殺し屋に刺し殺されたらしい。君は徐々に会話に加わり、まもなく、村全体がふさぎこんでいる理由を知る。村の族長の娘が夜盗団にさらわれ、ある洞窟の強力な魔物のに生け贄としてささげられているのだ。古い予言によれば、族長の血筋が絶えた時、村は大変な災いに襲われる――そして族長には、この娘の他に跡継ぎはいないとくる。

 君も旅の話や、道すがら出会った者たちの話をする。本物の英雄的な冒険者だと知ったスヴィンらは、すこぶる興味を示しだす。やにわにひとりが君に飛びかかり、別のひとりが村の者に報せに走る。君は万力のような力で捕らえられ、もがいている間にもスヴィンが大勢やってきて、村はずれの家に連れて行かれてしまう。

スティーブ・ジャクソン/浅羽莢子『シャムタンティの丘を越えて』創土社

 日の出から一時間後、外が騒がしくなる。扉が開き、スヴィンが五人と、そのあとから五色の衣をまとった白髪の老人が入ってくる。老人はスヴィンの族長プロセウスと名乗り、君を捕らえたことをわびる。そして下男にうなずいてみせ、下男はパンと牛乳を運んでくる。食べれば体力点2が加えられる。

 族長は、君には何より重大な任務が待っていると説明する。唯一の跡継ぎである幼い娘が夜盗にさらわれ、洞窟に住む強力な魔物への生け贄にされかけているのだ。部族の者数人が救出を試みたが、今までのところは失敗に終わっている。「わしらは切羽詰まっておるのじゃ」族長は説明する。「どうか代戦騎士として、わが世継ぎを助け出してくれ。成功すれば褒美は思いのままじゃ」

 見たところ人の好さそうな族長だが、君に選択の余地がないのは歴然としている。君は村から連れ出され、別の山へと続くだらだら坂を登らされる。山頂の地面には穴があいており、スヴィンらは籠を用意する。君を乗せて、魔物の洞窟への秘密の入口に違いないものの中におろすつもりなのだ。

スティーブ・ジャクソン/浅羽莢子『シャムタンティの丘を越えて』創土社