ドワーフの楽しみ

ドワーフの楽しみ

ドワーフの楽しみ

 ドワーフは本当は単純な生き物だが、自分たちの楽しみはちょっと変わったやりかたで追い求める。何よりも、彼らは、大地の宝―黄金、銀、白金、ダイアモンド、ルビーなど―を愛する。もっと正確にいうと、愛しているのではない渇望しているのだ。多くのドワーフはそれらのものには鋭敏そのもので、地中のどこに隠されていようとほとんど嗅ぎつけることができる。だが、手に入れてしまうと、不安に襲われる。ほかの生き物が、もう一度彼らから奪おうとするのを恐れるからだ。そこで、彼らは自分たちの貴重な宝石を金庫に入れ、巨大な錠のかかった大きな石扉の後ろに隠してしまい、熱心に見張るのだ。


 しかし、この偏執狂的な性質をべつにすれば、ドワーフたちはきわめて称讃に値する。彼らは強壮な戦士であり、敵をむやみに殺すことは好まないにもかかわらず、戦場こそ仲間に自分の力を証明する場所だと考えている。そして、戦いでは、もう一つの目立つ点がある。それは、物語や詩歌のすぱらしい材料となっていることだ。ドワーフは勇壮な歌や物語を愛する。とくに、強いエール酒の大瓶や、パイプに詰めた煙草があるときはなおさらだ。


 ドワーフの飲む工ール酒はとんでもなく強いものだが、オークの工ール酒、グアーシュとちがい、ほどよく飲むなら、人間でもひどい目にあうことはない。彼らは悪名高いスカルバスターもふくめ、特別に強い酒もいくつか蒸留しているが、それらはまさに伝統の味がし、また、ドワーフの酒場以外では非常に高価だ。ドワーフは会話のつなぎに、煙草をたっぷりとふかすのを好む。人問は南の地に育つそうした煙草を入手し、ドワーフと取り引きする。有名なドワーフ銘柄には、"ガーニィ(葉)”、"ピュア・アックスヘッド(純斧刃)”、"ドラゴン・スモーク(竜煙)”などがある。


 しかし、くつろいでいるときでも、ドワーフは近くに武器を置いている。おそかれはやかれ、オークやトロールがいつか襲ってくると思っているからだ。ドワーフの人生というのは、戦い、飲み、鉱山の試し掘りの繰り返しのように見える―だが、ドワーフがそのことに不平を言うのを聞くことなどないだろう!

M.ガスコイン編安田均訳『タイタン』社会思想社