パサム

パサム

 『惑星カレスの魔女』に登場する常套句。

 その時、ワイアを包んでいた光のゆらめきが消えた。ワイアは崩れ落ちた。あとには通常の照明の明かりがあるだけだった。三人はそれぞれの表情を浮かべて船長を見上げた――マリーンは残念そうに笑ながら、ザ・リーウィットは苛立ちを露骨に見せて、ゴスはまったく無表情で。

「いったいぜんたい(グレート・パサムズ・セブンス・ヘル)、こいつはどういうことだね?」パウサート船長はじわじわと恐怖に捕らえられながら訊いた。

 ザ・リーウィットはゴスを見た。ゴスはマリーンを見た。マリーンは疑わしげな口調で言った。「名前なら教えてあげられるんだけど……」

「あれがシーウォッシュ・ドライブなのよ」とゴス

j.シュミッツ 鎌田三平訳『惑星カレスの魔女』新潮文庫

 いりーやは首を振って、絶望的な声を出した。「あなたはわかってないのよ。わたしはこの船に乗っていおられないのよ!」

「どうしてだい?」

「パウサート、わたしはラポート上院議員夫人なの」

「え!」操縦室は静まりかえった。船長が力なく言った。「いつからだい?」

「昨日で五カ月になるわ」

「なんてこった(グレート・パサム)!」船長はいささか憤慨して叫んだ。「それじゃあ、ぼくがニッケルダペインを出たか出ないかの時じゃないか! ぼくらは婚約していたんだぞ!」

「内緒で、でしょう……それに」イリーヤはいくらか元気を回復して応じた。「わたしにだって、気を変える権利くらいはあるわ!」

 ふたたび静けさ。

j.シュミッツ 鎌田三平訳『惑星カレスの魔女』新潮文庫