ピョンピョン

ピョンピョン

第二部 ロシア悪人外伝

(三)盗賊群像

ピョンピョン(生ける屍)Попрыгунчики (Живые покойники)

 アレクセイ・トルストイの『苦悩の中を行く』という小説にも登場する強盗。一九一八年ペテルブルグで経帷子をまとったものがピョンピョンと跳ねながら行くのを見て、犠牲者が気絶したすきに金品を奪ったり、犠牲者が女性なら暴行したりと言う事件が続発した。実は竹馬のようなものにバネをつけて飛び跳ねていたのである。犯人はバリガーウゼンとポレヴァーヤの一味で結局捕まり、首領は処刑された。同じ事件が第二次世界大戦中にもあり、これはドイツのスパイが起こしたものと言われており、ドイツ軍が革命前後の犯罪史を研究した結果といわれている。チュコーフスキーの「二歳から五歳まで」という児童心理を扱った本に、当時八歳だった子息のボリースにロシアの叙事詩を何度も読み聞かせていたところ、一九一九年にこの事件のことを聞いて、ボリースは叙事詩に書いたという。普通の叙事詩よりよほど面白かったとのことである。

さとう好明『ロシア史異聞』ユーラシア・ブックレット145 東洋書店
ロシア史異聞 (ユーラシア・ブックレット)

ロシア史異聞 (ユーラシア・ブックレット)