ポキープシ

ポキープシ

4 エルフランドからポキープシ


そして昨年、新しい本が送られてきたときも、わたしは心地よく秘密めいた気持ちで、腰を落ちつけて読みはじめたものでした。以下はそのときに読んだうちの一部の引用です。話し合っているのは、伝説上のケルト人の王国の皇族たる公爵と、戦士/魔術師――両者ともエルフランド世界の偉大な王者たる人物です。


「彼らが最終的に成功をおさめるか否かは投票を操作するケルソンの個人的な手腕にかかっているだろう」

「彼にできますか」モーガンはたずね、二人は足音高く階段をなかば下って庭に入っていった。

「わからんな、アラリック」ナイジェルは答える。「彼は有能だ――おそろしく有能だ――だが、私にはまったくわからない。しかも、評議会の主力な長たちは君も知ってのとおりだ。ラルソンは死んだも同然、ブラン・コリスは実質的に公けに告訴をしているに等しい――どうもうまくないようだな」

「カルドサでそのことをお伝えすることもできたのですが」


 ここまで読んで邪魔が入り(たぶんポーロック社の人が来たのだと思うがよく覚えていない)、次にすわりこんだときにはたまたままったく質の違う本を取り上げていました。ワシントンDCを舞台にした政治的意図の強いもので、自然主義的/時事的な全くの現代小説です。以下はその本から採った会話のサンプル、ある上院議員と汚染コントロールの活動に従事する院外運動員の会話です。


「彼らが最終的に成功をおさめるか否かは投票を操作するケルソンの個人的な手腕にかかっているだろう」

「彼にできますか」モーガンはたずね、二人は足音高く階段をなかば下ってホワイト・ハウスの庭に入っていった。

「わからんな、アラリック」ナイジェルは答える。「彼は有能だ――おそろしく有能だ――だが、わたしにはまったくわからない。しかも、委員会の主力な議長連は君も知ってのとおりだ。ラルソンは死んだも同然、ブライアン・コーリスは実質的に公けに告訴をしているに等しい――どうもうまくないようだな」

ポキープシでそのことをお伝えすることもできたのですが」


 どうも、どこかで話が狂ってしまったようです。最初に引用した作品は英雄だの魔法使いだのといった道具立てにもかかわらず、ファンタジーではありません。もしこれがファンタジーであれば、四カ所の言葉を変えるという汚いトリックにかけることはできなかったでしょう。ペガサスの翼をそうもやすやすと切り落とせるはずがありません――それが本物の翼であるならば。

ル=グウィン著 山田和子他訳『夜の言葉』同時代ライブラリー 岩波書店