マルサスの罠

マルサスの罠

アジア史発展の再評価

 「マルサスの罠」とは、つぎのような事態をいう。人はねずみ算的に子供を産むので人口は幾何級数的に増加する、他方食糧生産の方は土地資源によって制約されるので、労働力を追加しても追加した労働力分はほど生産の増加は起きず、生産力が低下して一人当たり所得が低下していく。しかし、その低下は最低生存費いかにまでいくことはない。というのは人口増大によって生ずる食糧不足が飢えや病や戦争を導き、人口を減少させるからである。このような状況が、マルサス的均衡状態あるいはマルサスの罠と呼ばれるものである。当然ながら、この状況にある社会では、所得はすべて消費にまわってしまうために、経済成長は起きないことになってしまう。

水島司『グローバル・ヒストリー入門』山川出版社
マルサスの人口論のその後

 イギリスで産業革命からの一〇〇年間、労働需要は急激に増加し人口も増加したが、実質賃金率はさほど上昇せず、マルサスの議論通りの展開となった。しかし、その後一八七〇年代から出生率と死亡率がともに低下して人口成長率は減少したが、実質賃金率は趨勢的に上昇した。つまり、実質賃金があがっても人口は増えず、マルサスの人口論が通時的にはあてはまらないことが明らかとなった。

水島司『グローバル・ヒストリー入門』山川出版社

グローバル・ヒストリー入門 (世界史リブレット)

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