ロガーンとトロール

ロガーンとトロール

”策略の神”ロガーン

 タイタンのほかの神々は、格調の高い、いわゆる神話にだけ現われるが、ロガーンは人々になじみ深い民話にも姿を現わしている。それらの舞台はいつも”俗界”で、ほかの神々が「最初の戦い」から手を引く直前か直後である。そして、いつも彼が策略を行って、尊大な者や残酷なもの、あるいは愚かなものをとっちまるところで終わっている。多くの話はどのようにして”策略の神”が文字、火、車輪、煙草などもろもろのものを発見したかも説明している。そして、ロガーンはいつもその話の主人公でありながら、自分自身も愚かであるような出現のしかたをしている。


 『ロガーンとトロール』はこの種の典型的な民話だ。いろいろな地で有名な昔話で、農夫や木こりがベッドで子どもに話して聞かせる。


ロガーンが田舎を旅していて、ある村にやってきたときでした。村人はみんな悲しんでいました。なぜそんなに悲しいのかと尋ねると、村人たちは大きな悪いトロールが毎晩やってきて、自分たちを食べるために何人もさらっていくのだと答えました。トロールは丘にある洞窟に住んでいて、昼にはそこに隠れていました。トロール族は太陽の輝きで目が見えなくなってしまい、太陽が嫌いなのです。ロガーンは丘を登り、トロールの洞窟を見つけました。洞窟はとてもひどい臭いがして、入っていけません。そこでロガーンは縄を取り出し、投げ縄を作ると、何度も投げ上げ、空を回っている太陽の女神グランタンカを捕まえました。ロガーンはえんやこらと引っ張り、グランタンカを地上に降ろしました。グランタンカは空から引き下ろされたら誰でもそうするように、ロガーンに文句を言い、自由になったらいろんな天罰を下すと脅かしました。ロガーンは気にせず、グランタンカに頭から大きな袋をかぶせました。あっというまに夜になってしまいました。


 洞窟の中、トロールはあくびをし、えらく早く日が暮れたものだとつぶやきながら起きました。それから、棍棒をかつぎ、村に向かいました。でも、トロールが洞窟を出たとたん、ロガーンは袋を開いてグランタンカの縄をほどきました。太陽の女神はびゅーんと空にもういちど戻りました。トロールは両目を手で押さえながら、痛みに悲鳴をあげました。すかさず、ロガーンはトロールの棍棒を拾い上げ、その頭を殴りつけました。トロールの死体は村に落ちていき、村人たちは大喜びしました。


 でも、お祭りをした次の朝、ロガーンが村を出て歩いていると、太陽の女神グランタンカが空からロガーンを見つけ、火の玉を投げつけました。ロガーンは真っ黒焦げになり、村人たちはおなかを抱えて笑い転げました……。