ヴィモーナ

ヴィモーナ

ヴィモーナ包囲戦

 ここ六年間、魔法、爆発物、破壊槌、それに大量の兵員を投入した、力まかせの攻撃がヴィモーナ河口の歴史ある都市の防壁に向けられている。ここはかつてシャマズ湾の北端の重要な拠点であり、はるか北のサラモニスからも商人が訪れていた。人口はそのころ十万人に近づいたこともあったが、六年も包囲戦が続くにつれ、二万人を少し超えるくらいにまで縮小している。ヴィモーナ王アレクサンドロス二世は、去年最後から二番目の外壁がすさまじい量の攻撃によって打ち破られたさいに死亡した。いま軍を率いているのは、彼の妻ペニエル女王で、彼女はみずから最後の壁に立って陣頭指揮をしている。市民は、ヴィモーナが陥落するだろうと諦めているが、それでも戦い続けている。それは何とか時間をかせぎ、他の都市がやがて来るであろう同じような包囲戦にたいして準備する時間を生み出すためなのである。

M.ガスコイン編安田均訳『タイタン』社会思想社