三等分家

三等分家

 角の三等分の作図法を「発見」してはレポートを送りつける人たちのことを「三等分家」(trisector)と呼ぶが、これはレポートを送る側も送られる側も不幸になるだけだから決してやらないように。まともな数学者ならそんなレポートは読まずに捨てる。アメリカには三等分家間違いを研究する奇特な数学者がいて、それぞれの作図法をコンピューターでシミュレートしては「六〇度を三等分して誤差が六分二〇秒か、例の間違いパターンだな」なんてほくそ笑むらしい。ちなみに最高記録は六〇度を三等分して誤差が一・五七秒になったという。

 角の三等分ができれば社会に大して素晴らしい貢献になる、と信じている三等分家も多いそうだが、そういう人を見かけたら「角の三等分よりも、便箋を簡単に三等分に折りたたむ方法を発明する方がよほど社会の役に立つ」(ド・モルガン)という言葉があることを教えてあげてください。

木村俊一『天才数学者はこう解いた、こう生きた』講談社選書メチエ