主人公

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332 毎日自喚主人公(毎日自ら主人公と喚ぶ) ――無門関12――

 瑞巌和尚(生寂不詳)は、毎日自分自身で「主人公」と呼びかけ、自分で「はい」と返事をして、そこでいった、「目をさましておれよ」「はい、はい」「これからのち人にだまされまいぞ」「はい、はい」。臨済和尚はいう、「大器の者の如きは、直だ人惑(にんわく)を受けざらんと要(ほっ)す。随処に主と作れば、立処皆真なり」と。

 器量の大きな人物であったら、絶対に他人の惑わしを受けまいとするものだ。どこであろうと、自分が主人公となれば、立っている所がすべて真実である、というのである。禅とは自己の主人公に目覚めて、随所に主となって生きる生活をいう。瑞巌和尚の愉快なところは、それを自分で買い自分で売って、毎日「おい主人公」「はい、はい」と、独り芝居をやらかしたところにある。

秋月龍珉『一日一禅』講談社学術文庫

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