俊寛読書術

俊寛読書術

 繰り返し読むこと、また、始めから終わりまで、次に終わりから始めへ向かって読むこと。

雑色が頸にかけさせたる文袋より、入道相国のゆるし文取出(とりいだ)いて奉る。ひらいてみれば、「重科(ぢゆうくわ)は遠流(をんる)に免ず。はやく帰洛の思(おもひ)をなすべし。中宮御産の御祈によッて、非常の赦おこなはる。然る間鬼界が島の流人、少将(せうしやう)成経(なりつね)、康頼法師(やすよりぼふし)、赦免」とばかり書かれて、俊寛と云ふ文字はなし。礼紙にぞあるらんとて、礼紙をみるにも見えず。奥より端へよみ、端より奥へ読みけれども、二人とばかり書かれて、三人とは書かれず。

   (巻第三「足摺」)

永積安明『平家物語を読む』岩波ジュニア新書
平家物語を読む―古典文学の世界 (岩波ジュニア新書)

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