君子

君子

 君子は身分のある男子が原義であるが、そこから立派な人格者を意味するようになった。但し君子は努力すれば何人も到達しうる境地で、孔子の教育において一応の目標となっている。そこで孔子が弟子たちに何ごとかを要求する時にしばしばこの君子の語を用い、時には第二人称の諸君の意に用いることもある(『宮崎市定全集』第四巻、以下『全集四』と略す、一五七頁参照)。諸君という言葉がそもそもこの用法から出たので、諸君子の略である。そこで、亦た君子ならずやは、諸君もそうあってほしい、と訳した方が、文章そのものには近いが、但しこの場合は前から孔子自身の心境を語ってきた続きとして、あえて、私もそうありたい、という意味に訳したのである。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

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