夢酔年譜

夢酔年譜

勝小吉著 勝部真長編『夢酔独言 他』東洋文庫138 平凡社 より、巻末の年譜を引き写します。

年号は西暦が併記してありますが、括弧の中に算用数字として書き改めました。

夢酔年譜

年号夢酔年譜時事
享和二(1802)一歳 江戸の旗本男谷平蔵三男(妾腹の子)として深川の油堀に生まれる。幼名亀松、左衛門太郎惟寅と称する。二月 羽太正養・戸川安論、蝦夷奉行となる。
  五月 蝦夷奉行を函館奉行と改称する。
享和三(1803) 六月 中沢道二没する(七十九)。
  十月 蘭医前野良沢没する(八十一)。
文化元(1804) 二月 中井竹山没する(七十五)。
  九月 露使レザノフ、長崎に来て交易を求める。
  この年頼山陽『日本外史』の草稿成る。
文化二(1805) 三月 レザノフを諭し、去らせる。
  五月 喜多川歌麿没する(五十三)。
  九月 露人、樺太に来る。
文化三(1806)五歳 凧喧嘩をして相手を負傷させ、父に打たれ疵を受ける。 
文化四(1807) 三月 西蝦夷地を公取する。
   四月 露人、蝦夷に来る。
文化五(1808)七歳 幕臣勝甚三郎元良の養子となり、小吉と称する。凧喧嘩をして敵わず、切腹を米屋に止められる。一月 会津・仙台の兵を蝦夷地に使わす。
  四月 間宮林蔵、樺太探検に赴く。
  八月 英船、長崎に侵入。長崎奉行松平康英、自刃。
文化六(1809)八歳 深川より本所亀沢町に移る。喧嘩をして父より押し込めに会う。六月 桂川甫周没する(五十九)。
  九月 間宮林蔵、黒竜江地方を探検し帰る。
文化七(1810)九歳 勝家の親類、鈴木清兵衛を師として柔術を学ぶ。一月 本草家小野嵐山没する(八十二)。
  二月 異国船防御を令する。
  五月 英船、常陸に来る。
  十一月 上田秋成没する(七十八)。
文化八(1811)十歳 深川菊川町両番を勤める一色幾次郎に、後、大久保勘次郎について馬の稽古を習う。六月 露艦、蝦夷に来る。艦長ゴローニン捕われる。
  十二月 倹約を令する。翻訳局を江戸浅草天文台中に設ける。
文化九(1812)十一歳 駿河台の鵜殿甚左衛門を師として、剣術を始める。四月 松平定信、楽翁と称する。
  八月 露艦、高田屋嘉兵衛を捕え去る。
文化十(1813)十二歳 兄の世話で林大学頭の所で学問を学び始める。五月 高田屋嘉兵衛、送還される。
  七月 蒲生君平没する(四十六)。
  九月 ゴローニンを放還する。
  十二月 尾藤二洲没する(六十九)。
文化十一(1814) この年、北地戍兵を撤収する。伊能忠敬の沿海実測全図成る。
文化十二(1815)十四歳 五月に無断で江戸を出奔。上方さして東海道を行く。閏八月帰宅。杉田玄白、『蘭学事始』を著わす。
文化十三(1816) 二月 頼春水没する(七十一)。
  九月 山東京伝没する(五十六)。
文化十四(1817)十六歳 初めて出勤し逢対を勤める。吉原へ行く。三月 仁孝天皇即位。
  四月 杉田玄白没する(八十五)。
  五月 古賀精理没する(六十八)。
  九月 英船、浦賀に来る。
文政元(1818)十七歳 刀の鑑定を学ぶ。兄と信州に行き、十一月江戸に帰る。四月 伊能忠敬没する(七十に)。
  五月 英船、浦賀に来る。
  十月 司馬江漢没する(七十二)。
文政二(1819)十八歳 信州の兄の所へ行く。実母没する。江戸へ帰る。兄と越後蒲原郡水原の陣屋へ行く。この年身代(世帯)を持ち兄の所へ移る。一月 水戸斉修『大日本史紀伝』四十五冊を献ずる。
文政三(1820) 六月 新銀鋳造。
文政四(1821) 九月 塙保己一没する(七十一)。
文政五(1822)二十一歳 再び江戸を出奔、上方さして東海道を行く。七月江戸へ帰り、父に檻に入れられる。一月 式亭三馬没する(四十八)。
  三月 上杉鷹山没する(七十二)。
  四月 英艦、浦賀に来る。
  八、九月 畿内・山陰・山陽にコレラ流行。
文政六(1823)二十二歳 長男出生、麟太郎義邦(海舟)と名づける。四月 大田南畝没する(七十五)。
  七月 シーボルト、出島に着任。
文政七(1824) 五月 英船、常陸に来る。
  七月 英船、薩摩半島を劫掠する。
文政八(1825)二十四歳 再び出勤する。外宅をして割下水天野右京の家を借りる。諸道具の売買をして内職とする。一月 初代歌川豊国没する(五十七)。
  二月 外国船打払令。
  四月 太田錦城没する(六十一)。
  五月 英船、陸奥沖に来る。
文政九(1826) 三月 亀田鵬斎没する(七十三)
  シーボルト江戸参府、滞在数旬。
文政十(1827)二十六歳 六月九日、実父男谷平蔵没する。三月 大槻玄沢没する(七十一)。
  八月 菅茶山没する(八十)。
  九月 高田屋嘉兵衛没する(五十九)。
文政十一(1828) 十月 天文方高橋景保、捕らえられる。
  十一月 酒井抱一没する(六十八)。本居春庭没する(六十六)。
文政十二(1829)二十八歳 行・水行・加持祈祷を試みる。刀剣の研ぎ、目利きを試み、刀剣講を催す。浅右衛門の弟子となり胴試しをする。三月 江戸大火。
 長男麟太郎、御殿(西丸)に召され初之丞(家慶の五男慶昌)のお付きとなる。五月 松平定信没する(七十二)。
  六月 近藤重蔵没する(五十九)。
  十一月 初代鶴屋南北没する(七十五)。
  十二月 歌川豊広没する(六十五)
天保元(1830)二十九歳 入江町岡野孫一郎相支配の地面へ移る。三月 石川雅望没する(七十八)。
  足立長雋、西洋産科を首唱する。
天保二(1831)三十歳 息子麟太郎御殿より下り家に帰る。犬に噛まれ重傷。用心の利平治没する。八月 十返舎一九没する(五十七)。武家の日傘使用禁じる。
  十二月 全国総石高調査。
天保三(1832) 八月 鼠小僧の処刑。
  九月 頼山陽没する(五十三)。
  諸国飢饉、東北地方洪水のため不作。
天保四(1833) 九月 本居太平没する(七十八)。
天保五(1834) 二月 江戸火災。
  三月 水野忠邦、老中となる。
天保六(1835) 閏七月 狩谷棭斎没する(六十一)。
  八月 田能村竹田没する(五十九)。
  九月 天保銭鋳造。
天保七(1836) 二月 江戸町会所の改革。
  五月 徳川斉昭、砲台を助川に築く。
  諸国飢饉、米価高騰。
天保八(8137) 二月 大塩平八郎、大阪に乱を起こす(翌月自刃、四十五)。吉原大火。
  四月 家斉、将軍職を家慶に譲る。
  八月 米艦、薩摩に来る。

|天保九(1838)|三十七歳 春隠居 麟太郎家督相続。|閏四月、諸大名以下に倹約を命じる(天保改革始まる)。

 七月 支配へ有髪改名を願い出る。六月 大判改鋳。
 十月 夢酔と号する。八月 徳川斉昭、意見書を幕府に出す。
 十一月 岡野孫一郎、大川丈助一件のため上坂。祖母没する。島田虎之助見山と相知る。杉本斗機蔵、モリソン号について上書。
天保十(1839)三十八歳 四月 松平内記の家中松浦勘次を連れ、鹿島神宮に参拝する。十月 江戸湯島天神で富興行を許可。
  十二月 土井利位、老中となる。幕府、渡辺崋山を蟄居、高野長英を終身禁獄に処する(蛮社の獄)。
天保十一(1849)三十九歳 他行留を言い渡され、二月より九月まで自宅に籠居する。一月 間部詮勝、老中になる。
 茶を始め、茶道具を収集する。麟太郎、牛島弘福寺で坐禅を修める。五月 市中売薬看板に蘭字禁止。
 六月 長兄、男谷彦四郎燕斎没する。八月 清商来て、広東における英国の行状を伝える。
  十二月 谷文晁没する(七十八)。
天保十二(1841)四十歳 二月より八月まで病臥。十二月再び大病。五月 水野忠邦閣老、天保の改革を行う。
 同二十二日、同役預となり、相支配保科方へ同居押し込められる。十月 渡辺崋山、自刃する(四十九)。
天保十三(1842)四十一歳 夏頃病気快癒。六月 為永春水獄死。
  七月 異国船打払令を緩和。
  八月 海防を厳重にする。
天保十四(1843)四十二歳 鶯谷に庵を結ぶ(鶯谷庵)。初夏『平子龍先生遺事』の稿成る。初冬『夢酔独言』を書き綴り、家訓庭訓にする。随筆「卯年ひろゐかき」を綴る。三月 香川景樹没する(七十六)。
  閏九月 平田篤胤没する(六十八)。
弘化元(1844)麟太郎、剣術の免許を受ける。四月 松崎慊堂没する(六十四)。
  七月 蘭使、開国を勧告する。
弘化二(1845)四十四歳 麟太郎(二十三)、妻を娶る。また、永井青崖(黒田藩)につき蘭学を修める。一月 浦賀に新砲台を築造する。
  二月 老中水野忠邦、罷免される。
  英艦、長崎に来る
弘化三(1846)四十五歳 麟太郎夫婦、この春別居して赤坂田町に移る。その長女夢子生まれる一月 仁孝天皇没する(四十五)。
  五月 仏船、琉球に来て交易を求める。
  閏五月 米船、浦賀に来て交易を求める。
  十月 伴信友没する(七十四)。
弘化四(1847) 二月 幕府、相模・安房・上総沿岸の警備を命じる。
  六月 オランダ人、再度幕府の外交について勧告する。
  九月 慶喜、一橋家を継ぐ。
嘉永元(1848)四十七歳 麟太郎(二十六)、オランダ字書二部を謄写し終わる。一部を売却して、家計を助ける。五月 米船、蝦夷に漂着する。
  この年佐久間象山、洋式野戦砲を造る。
  十一月 滝沢馬琴没する(八十二)。
嘉永二(1849)四十八歳 麟太郎の次女孝子生まれる。四月 葛飾北斎没する(九十)。
  閏四月、英艦、浦賀に来る。
  五月 幕府、三奉行以下に異国船打払令復活の可否を諮問する。
嘉永三(1850)四十九歳 九月四日死去、牛込赤坂下清隆寺(日蓮宗)の先塋に葬られる。麟太郎(二十八)、私塾を開き蘭書を講じる。一月 佐藤信淵没する(八十三)。
  六月 オランダ人、幕府に世界の形成を伝える。
  十月 高野長英自刃する。
  この年諸国飢饉。
勝小吉著 勝部真長編『夢酔独言 他』東洋文庫138 平凡社