大魔王

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マンパンの大魔王については、よくわからたいというくらいでは十分ではないだろう。さっぱりわからないというべきだ。彼がどこで生まれたのか、どこの国で育ったのか、両親がだれたのか(あったとしての話だが)、などすべてだ。黒魔術の基礎を教えたのがだれか、どこで彼が見習期間を過ごしたのかも、さっぱりわかっていたい。

しかし、彼が何者であれ、いまではだれもが彼のことを知っている。彼はマンパンの不浄な要塞の主であり、そこで非人問種族の邪悪な軍を訓練して、全カーカバードを支配下に置こうと脅かしているのだ。彼がザメン高地に来たときには、二十代後半だったが、そのころそこはまだ人も住まぬところだった。しかし、彼はたちまちオーク、ゴブリン、トロールなど邪悪と混沌の知性の低い種族を集め、最終的には”マンパンの大魔王の要塞”として知られる建造物を建てはじめた。

 建造者の最初の間に合わせのキャンプは、この地の鳥男、シンの襲撃を受けた。シンは明らかに不浄な魔術師が自分たちの地に黒い要塞を建てるのを嫌っていた。大魔王は一度会ってこのことを議論しようともちかけたが、鳥男の指導者が相談しに現れると、豹変して彼らを殺してしまった。彼はそれから、反抗勢力のシンとは伝統的に対立する他の鳥男と交渉し、彼らに黄金や宝石などを提供し続ける代わりに、シンを遠ざけていてほしいと申し出た。

 何年もかかった後、ついにマンパンの要塞は完成し、大魔王とその邪悪な下僕はそこに移り住んだ。およそ三十年から四十年のあいだ、大魔王は古代の秘儀を研究し続け、デーモンを呼び出しては彼と盟約を結び、その見返りとしてより偉大な権力を入手し、黒魔術の実践にますます熟達していった。

M.ガスコイン編安田均訳『タイタン』社会思想社

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