数学教師

数学教師

数学教師

189


百点満点だ!

 数学教師が叫んだ。

「一匹のネコが十万匹のネズミを殺す前に、十万匹のネズミが一匹のネコを殺しちまうさ。この答は数学的ではないかもしれぬが、それが現実というものだ」

 数学教師はジャケットの上着のポケットに手を入れてニッコリ笑った(恐ろしいしぐさだ)。

「ほら、これが黒騎士の部屋への通行証だ。おまえにやろう」

 きみは通行証をじっと見つめた。

 そこには――『まっすぐ200へ行け』と書かれていた。


   通行証を使うなら、200へ。

   そうでなければ、北の扉から部屋を出よ。

J・H・ブレナン著/真崎義博訳『魔界の地下迷宮』二見書房

194


「とんでもないもの知り顔な答えだ!」数学教師が怒り狂って叫んだ。「十万匹もネズミがいれば、一匹のネコなどあっというまに喰い殺してしまうわ。そんなこと、どんなバカにだってわかることだ!」

 彼はきみを打ち殺そうと定規を振り上げる。が、幸運なことに、あまりの興奮に心臓発作を起こして倒れてしまった。きみは彼のポケットから部屋の鍵を盗み、北の扉から廊下へ出て行く。

J・H・ブレナン著/真崎義博訳『魔界の地下迷宮』二見書房

198


 急いでここから出るんだ! あっ、間に合わなかった。扉が閉まってしまった。

 ここは、魔界の中で黒騎士の部屋の次に危険な部屋なんだ。

 ひと目見ればわかる、恐怖の数学教師の部屋なのだ!

 恐怖の数学教師は肘に革のパッチのついたスポーツ・ジャケットを着ており、両手の甲は毛むくじゃらだ。

 まるで蛇が鳥を射すくめるように、君に鋭い視線を向けている。

「一匹のネコが、一分で一匹のネズミを喰い殺せるとしたら、十万匹のネズミを喰い殺すにはどれくらいの時間がかかるかな?」

 むっつりと彼がきいた。

「さあ、即答しろ。さもないと、定規で打ち殺してやるぞ!」


  十万分だと思うなら、194へ。

  そうではないともうなら、189へ。

J・H・ブレナン著/真崎義博訳『魔界の地下迷宮』二見書房

* はてなダイアリーキーワード:数学教師