文学はかくのごきものなり

文学はかくのごきものなり

『文学論』序

 余は少時好んで漢籍を学びたり(明治十四、五年ごろ二松学舎に通っている)。これを学ぶこと短きにもかかわらず、文学はかくのごときものなりとの定義を冥々裏に左国史漢(『春秋左氏伝』『国語』『史記』『漢書』)より得たり。ひそかに思うに英文学もまたかくのごときものなるべし。

夏目漱石『私の個人主義』中公クラシックス
私の個人主義ほか (中公クラシックス)

私の個人主義ほか (中公クラシックス)