端午

端午

幽蘭居士東京夢華録 巻六

端午*1

 端午の節句のきまり物には、百索*2・艾花(よもぎ)*3・分銅型の鼓児*4・花花巧画扇*5や、香糖果子・糉子・白団*6・紫蘇・菖蒲*7・木瓜などの食べ物があり、これらは皆こま切りにして、香味料をまぜ、薄桃色の箱に入れておく。

 五月一日から端午の前日までは、どこでも桃・柳・葵花・蒲の葉・仏道艾を売っている。翌くる日、家々ではこれを門口に並べ、糉子・五色の水団*8・茶・酒を添えてお供えする。また艾人*9を門に打ちつける。士民は互いに招宴を張る。

孟元老著 入矢義高・梅原郁訳注『東京夢華録』東洋文庫598 平凡社

*1:この一章は『歳時広記』巻二一に引用されているが、字句の異同はほとんどない。

*2:漢の『風俗通』に、「五月五日は邪気よけのために五彩の糸を臂にかける。それを長命縷・五色縷・朱索などという」とあり、『歳時広記』には、今の端午の百索はその長命縷の遺風であるといい、『事物紀原』巻八にも、今の百索は巻の朱索の遺風だと断じている。『演繁露』巻七の「端午綵索」の条をも参照。

*3:艾(よもぎ)を編んで、虎や、むかで・げじげじ・蛇・蝎(さそり)・草虫などの類を作り、魔よけとして頭に挿す。絹や紙で作ることもある(歳時雑記)。

*4:小さな太鼓の玩具で、架に掛けたり、台座に取りつけたりしてあり、いろいろな種類がある(同前)。

*5:これも小さな扇子(うちわ)で、青黄赤白などの色があり、あるういは刺繍したり絵をかいたり、金箔をちらしたのや雑彩のや、種々のものがある(同前)。「花花」とはこのような多彩さの形容。あとの「中元節」の章に「花花油餅」というのがある。

*6:砂糖の餡を包んだシラタマ。水団ともいい、水にひたして冷やして食べる。五色のや、人形・動物・花・果物などの形に作ったものもある(同前)。青木正児『華国風味』(『全集』第九巻四三六―四三七ページ)参照。なお明の韓奕の『易牙遺意』巻下に載せている水糰も、その製法も食べ方もこれと同じ。

*7:「歳時雑記」によると、菖蒲のほか生姜・杏・梅・李・紫蘇などをみな糸のように細く切り、塩を加えて天日で乾かしたり、または糖蜜に漬けて梅の皮で包んだもの。

*8:注(6)を見よ。

*9:すでに『荆楚歳時記』にも見える如く、艾で人形を編んだもの。艾の香気が強いところから、邪気はらいのおまじないに用いる。

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