終風

終風

30 終風 (かぜが吹き)

1

終風且暴 bok

顧我則笑 sio

謔浪笑敖 nao

中心是悼 dok


終(すで)に風ふき且つ暴(あ)る

我を顧みて則ち笑ふ

謔浪(ぎゃくらう) 笑敖(せうがう)す

中心これ悼む


風が吹き嵐があれる

我をみてせせら笑う

なぶりものにしてあざけり散らす

かなしみがこみあげてくる


2

終風且霾 mee

恵然肯來 le

莫往莫來 le

悠悠我思 sie


終に風ふき且つ霾(つちふ)る

恵然として肯(あへ)て來(きた)る

往く莫く來る莫し

悠々として我思ふ


風が吹き土煙がたつ

何食わぬ顔でやつてきて

ゆくでもなしくるでもなし

かなしみがはてしもない


3

終風且曀 yet

不日有曀 yet

寤言不寐

願言則嚔 tyet


終に風ふき且つ曀(くも)る

日はれずして有(また)曀る

寤(さ)めて言(ここ)に寐(い)ねられず

願(おも)うて言に則ち嚔(くさみ)す


風が吹き日がくもる

晴れもせずくもるばかり

めざめてはねつかれもせず

おもいわぎくさめをはなつ


4

曀曀其陰

虺虺其靁 luei

寤言不寐

願言則懐 hoei


曀々(えいえい)としてそれ陰(くも)り

虺(くわい)々としてそれ靁(らい)す

寤めて言に寐ねられず

願うて言に則ち懐(おも)ふ


どんよりとかきくもり

ごろごろとなりひびく

めざめてはねつかれもせず

なやみつつおもいにふける

白川静「邶風」『詩経国風』東洋文庫
主題

 風雨が暴れ、雷がとどろくのは、狂暴な男の態度を暗示する。威張りたおして嫁いじめする男が、多かったのであろう。

白川静「邶風」『詩経国風』東洋文庫
詩経国風 (東洋文庫)

詩経国風 (東洋文庫)