謎解き

謎解き

謎解き
(二)謎解き

小佐田 「謎解き」はどうですか?

枝 雀 文字通り謎を解いた答えがサゲになるという型ですね。きき手が不思議な状況を提示されて「なんでそんなけったいなことがおこるんやろ?」と疑問を持ったその疑問の解答が即サゲになるわけです。

小佐田 「謎解き」の例は?

枝 雀 『皿屋敷』がそうですな。皿屋敷のお菊さんの幽霊が井戸の中から毎夜出てきては皿の数をよむ。いつも九枚しかかぞえへんのにある日十八枚もよんだ。「なんでぎょうさん皿の数をよんだんじゃ」ちゅうてたずねたら、お菊さんが「二日分よんどいて、明日の晩休みまんねん」というのがサゲです。お菊がいつもよりぎょうさん皿の数をよんだというのが不思議な状況ですわね。きき手としたらなんとかこの理由を知りたいと思いますわ。と、その答えが「明日の晩休みまんねん」で、「なるほど、シャレてんなァ」でサゲになってるというわけです。

小佐田 きき手が謎の答えを知りたがるということが必要でんな。

枝 雀 そうでんな。少なくともその謎が解けないときき手にとってマイナスになるようなものやないといかんわけですね。

小佐田 他には?

枝 雀 『寝床』がそうですわ。「なぜそちだけが寝ることがでけんねん」が「謎」、「わたしの寝るところが、ちょうど床になっております」が「解き」になるわけですわね。

小佐田 なるほど。

枝 雀 なかには、ちょっと見たところでは「謎」がわかりにくいちゅう例もおまっせ。

小佐田 例えば?

枝 雀 『芝浜』がそうです。

小佐田 『芝浜』? 「よそう、また夢になるといけねえ」ちゅうやつですね。

枝 雀 そうそう。これが「謎解き」やということ、わたしも長いことわかりまへんでしたんや。つまりね、「よそう」と「また夢になるといけねえ」の間に、きき手の「なんで?」という質問が入るわけです。で、その答えが「また夢になるといけねェ」で、「なーんや、そうやったんかいな。ナールホド」ということになるわけです。

小佐田 「謎」の部分が、潜伏しとるわけですね。

枝 雀 「潜伏」て曲者みたいに言いなはんな。けど、これは見のがしまっせェ。

桂枝雀『らくごDE枝雀』ちくま文庫


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(四)合わせ