empodizo

empodizo

「無花果にまつわる話」

これはアテナイオスではなくアリストパネス(前五世紀)だが、彼の喜劇『騎士』の中に、「干しイチジクをempodizoする時みてえに口をぽかーんと開けやがって」というせりふがあって、このempodizoの語意がいろいろに説明されていていまだに解決していない。子供が干しイチジクをポーンと空にほうり上げてそれをぱくっと口で受ける遊びのことだと言う人もあれば(あんなものが子供の口にぱくっと入るかと疑う人がいる)、木になっているイチジクに、下から飛びついてもぎ取る遊びだと言う人もいる(でもsykonにではなくischasに飛びつくと書いてあるではないかと言う人がいる)。中には、干しイチジクを足で踏みつぶすことを言っているのだと言う人もいるが(empodizoの語源にはこれが最も近い)、それだと、どうして「踏みつぶす」のか、どうして「口をぽかーんと開く」ことになるのか分かりにくい。これを解決したからといって世のためにそれほど貢献するとは思えないが、それでも学問にはこれを解決する責務がある。

柳沼重剛『西洋古典こぼればなし』岩波同時代ライブラリ 1995