蜀犬 日に吠ゆ

1901-01-12

[][]一月十二日 人間は、エゴイズムが常に自分自身に悪い結果を はてなブックマーク - 一月十二日 人間は、エゴイズムが常に自分自身に悪い結果を - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

一月十二日

 人間は、エゴイズムが常に自分自身に悪い結果をもたらすものだということを、理性をもって十分に納得しないかぎり、たとえ信仰がそれを教えても、多くの場合、それは生活に実際的な影響を大して与えない弱々しいものにとどまる。しかし、その深い理解を得た人は一大進歩をとげる。


   対 話

    一

 わたしの親しい古い友よ、

 もうこれ以上おまえとは暮せない。

 これからはおまえを心から憎む。

 今こそおまえは降伏すべきだ。


 こころよく死に身をゆだね

 この運命に従うがよい。

 さもなければ、必ずやおまえは

 いやといういうほど悲惨と苦しみにあうだろう。

    二

 わたしはおまえと議論はしない。

 ただ沈黙を守っているだけだ。

 より高い光(賢さ)はおまえに任せよう。

 ただ(信じる)意志だけはわたしが持ちつづける。

    三

 おまえはあいかわらずだ。

 なん度敗れてもそのままだった。

 人間はだれもおまえ、自我には勝てない。

 新しい夜明けが来なければだめだ。


 未知の高みからやって来る

 別の霊、別のこころ――

 どんな価いを払っても、どんな苦痛を忍んでも、

 それを手に入れたい。おまえはもう去るべきだ。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫