蜀犬 日に吠ゆ

1901-02-18

[][]二月十八日 神の「親愛」こそ、 はてなブックマーク - 二月十八日 神の「親愛」こそ、 - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

二月十八日

 神の「親愛」こそ、本当にわれわれに尊敬の念を起させ、われわれを信服させる唯一のものである。神の「怒り」はそうではない。いくらかでも反抗的な者なら、それに対してすぐ反撥して、次のように抗議するであろう。「それなら、なぜ一体あなたはこんなふうにわれわれを造り、こんな困難な状況に置いたのですか。」また、いわゆる「父の愛」も、そのような信服の気持を起させない。父の愛については、われわれは幼い頃から、つねによい思い出ばかりを持っているわけではない。旧約聖書のいわゆる「花婿の愛」もやはり同様であって、われわれには理解しがたい概念である。これらの言葉はいずれも、それ自体言い表しえないものについての不完全な比喩にすぎない。しかし、偉大なる主の、つねに親切な、慈しみにみちた、いつも大きくかつ広いみ心の、全く真実な、すこしも飾らない態度、また、すべてを見渡し、しかしごく小さな善をも認めて、つねにこれを助けようと用意していられる態度、これこそ、われわれが神について真に求めているものであり、また、与えられるものである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫