蜀犬 日に吠ゆ

1901-04-16

[][]四月十六日 懐疑への誘惑 はてなブックマーク - 四月十六日 懐疑への誘惑 - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

 懐疑への誘惑は、いつでも、理屈によってではなく、まず信仰によって克服されねばならない。そのような時には、知性では全く間に合わない。そのようにして疑惑が払われると、マタイによる福音書三の一七*1にある、天上の声の余韻のようなものが、魂に残される。もしわれわれに一層勇気があれば、そのようなことを経験できる機会をむしろ喜ぶであろう。しかし、それがあまりたび重なって起るときは、このような機会が訪れなくなる。というのは、それはもはや目的がなくなるからである。ただ楽しみのために、神はこうした喜びを与えられるわけではない。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫

*1:「また天から声があって言った、『これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である。』」