蜀犬 日に吠ゆ

1901-06-19

[][]六月十九日 共同生活を非常に楽にする はてなブックマーク - 六月十九日 共同生活を非常に楽にする - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

 人間の共同生活を非常に楽にする気持ちのよい性質は、できるかぎり他人の願いによろこんですぐ応じるような、ある種の親切な好意と気軽さである。ところが人によると、眼にも舌にも永遠の「否(ノー)」をもち、全くどうでもいい事柄でも決してすぐ他人の意見に従わず、いつも長ながと頼んだり、説得したり、咎めたり、催促したり、追いたてたりした挙句でなければ、同意しない者がかなり多い。このようなことのために、ごく善良な人間でありながら、往々、すっかり嫌われ者になることがある。このような悪い癖とさっぱり手を切ることが、ぜひとも必要である。万事につけて神に強制されなければ改めようとしないこのような強情なしもべが、神に大いに喜ばれるであろうとは、とうてい考えられない。旧約聖書の預言者たちも、実際しばしばそのような言葉を語っている。

 エレミヤ書七の二二―二七、三一の三一―三三。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫