蜀犬 日に吠ゆ

1901-08-24

[][]八月二十四日 悪はときどき個々の人間に はてなブックマーク - 八月二十四日 悪はときどき個々の人間に - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

 ヨブ記一の九―一二*1、二の三―六。悪はときどき、個々の人間について徹底的に力だめしをしてよいという正式の許可を、神から与えられることがある。これは悪が何をなすことができ、またなすことができないかを、人間にはっきり分らせるためである。

 悪がその全力をつくしても徒労に終るような人間を見出すのは、神の勝利であり、神にこのような喜びをささげるのは、人間の最高の任務である。しかし、みずから好んでこの任務を求める者、あるいは、この任務につかせられた時その遂行にあたり自分の力がどんなにわずかしかあずからないかをたえず自覚していない者は、はなはだ不遜な人である。さもなければ、あまりにも悪の力を知らない人である。

 そのような者は、特にうまく行った場合さえ、この恐ろしい戦いのために、たとえ悪に征服されないまでも、ひどい痛手をうけるか、いや、それどころか、しばしばすっかり打ちひしがれてしまうことがある。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫

*1:「サタンは主に答えて言った、『ヨブはいたずらに神を恐れましょうか、あなたは彼とその家およびすべての所有物のまわりにくまなく、まがきを設けられたではありませんか。あなたは彼の勤労を祝福されたので、その家畜は地にふえたのです。しかし今あなたの手を伸べて、彼のすべての所有物を撃ってごらんなさい。彼は必ずあなたの顔にむかっって、あなたをのsろうでしょう。』主はサタンに言われた、『見よ、彼のすべての所有物をあなたの手にまかせる。ただ彼の身に手をつけてはならない。』」