蜀犬 日に吠ゆ

1901-08-27

[][]八月二十七日 神とその支配とは はてなブックマーク - 八月二十七日 神とその支配とは - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

 神とその支配とはゆるぎない事実であり、また自分の内的生活におけるあらゆる真の進歩も同様に一つの出来事であって、獲得された知識や、まして単なる観念では決してないということが、自分の経験によってわかったときに初めて、人は本当の信仰に到達するのである。

 このような経験を一度もしたことがないと主張する人たちが、ただある人間や書物の証言をもとに、信仰しようとせず、目で見、手でつかむことのできるこの世の実在物をずっと確実なものだと考えたとしても、それを悪くいうわけにはいかない。むしろ問題はただ、彼らがそれ以外の経験をしたことがないということが、果して真実であるかどうかである。この点については、ヨブ記三三の二九・三〇*1の言葉の方が救済予定説よりも、慰めにみちた正しい見解である。もっとも予定説も、たんに表面的にそれを見れば、たしかに多くの意味を含んではいるが。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫

*1:「見よ、神はこれらすべての事をふたたびみたび行い、その魂を墓から引返し、彼に命の光を見させられる。」