蜀犬 日に吠ゆ

1901-09-01

[][]九月一日 善から引き離すものが はてなブックマーク - 九月一日 善から引き離すものが - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

九月一日

 人間を最も甚しくすべての善から引き離すものが二つある。これはだれでも一生に一度や二度は自分で経験しているであろう。先ず、なにか悪いことをしようとする時、これはなにもそう悪いことではない、世間一般の慣わしであり、だから、これくらいのことをしたからといって、善良な人間でなくなるわけはない、といって自分をいいくるめる。つぎに、その悪事をやり終えた途端に、今さら改心しても赦してはもらえないと思えてくる。とりわけ、この後の方の考え方はつねに克服しなければならない。神はどんな後悔でも聞きいれてくださる。ずっと後になってからでも、またなんども悪へ逆戻りしてからでも、赦してくださる。われわれの主は、助力と平和を求めてくるどんな人間をも、突きはなしはされない。もう一度はっきり言うが、どんな人間をも、例外なくどんな人間をも。

 イザヤ書一の一八、四三の二五、四四の二二、四五の二二、五五の一―三、詩篇五一、ヨハネによる福音書六の三七、マタイによる福音書一一の二八―三〇。

 このような経験をしたことのある人たちが、後になるとかえって、最も信頼できる人になることがよくある。というのは、彼らは一方で享楽生活のみじめさを、他方で平和の幸福を、身をもって深く学び知り、そのどちらがまさるかを悟っているからである。


  これまでわたしは十分自分のために生き、

  その悲しみを味わいつくした。

  自分で造った家はくずれ落ち、

  そのあとから新しい家が建てられた。


  永遠をめざして建てられた家、

  時間(とき)の流れにさらわれない家、

  聖なる焔に火を点じて、

  日毎いけにえの煙がたちのぼる家。


  神の怒りはとけ――戸は開かれた――

  あわれな魂は解き放たれた。

  わたしの前途にはかぎりない希望と、

  奇跡にみちた時とがある。

      (出エジプト記三四の一〇参照)

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫

ヨハネによる福音書

JOHN 6

イエスは命のパン

37 父がわたしにお与えになる人は皆、わたしのところに来る。わたしのもとに来る人を、わたしは決して追い出さない。

37 All that the Father gives Me will come to Me, and the one who comes to Me I will by no means cast out.

新共同訳『新約聖書』ギデオン協会

マタイによる福音書

MATTHEW 11

わたしのもとに来なさい

28 疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。

28 Come to Me, all you who labor and are hevy laden, and I will give you rest.

29 わたしは柔和で謙遜な者だから、わたしの軛を負い、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたは安らぎを得られる。

29 Take My yoke upon you and learn from Me, for I am gentle and lowly in heart, and you will find rest for your souls.

30 わたしの軛は負いやすく、わたしの荷は軽いからである。

30 For My yoke is easy and My burden is light."

新共同訳『新約聖書』ギデオン協会