蜀犬 日に吠ゆ

1901-09-02

[][]九月二日 たいていの病気は はてなブックマーク - 九月二日 たいていの病気は - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

九月二日

 わたしの人生経験にしたがえば、たいていの病気は、道徳的欠陥の共同作用がなければ起らない。それどころか、実に多くの神経病や初期の精神病においては、これはほとんど例外のない通則である。しかし、病気の起る原因がとりのぞかれることはごくまれであり、それどころか、病因が十分に究められさえしないことが多い。

 そこで、多くの病人はいくつもの病院を訪ね、さまざまな治療を受けながら、半生もしくば全生涯をだらだらと過ごし、そのためにしだいに頭が鈍くなるか、なお一層悪いのは、つぎつぎに自分勝手な病気を考え出しては医者の炯眼をためしたりして、一時の満足をおぼえることだ。ときたま、ブルームハルトやヴィーニュやクナイプのよな、万病をなおす奇跡を行う人の噂を聞くと、こういうその時かぎりの治療所に幾千人もが押しよせる。だが、しばらくたつと病気は元のままというのが普通である。

 特に神経の病気においては、最上の治療が行われるのは、患者が本当に強いまことの信仰と、治ったら自分の生命をこれまでよりも立派に使いたいという断固とした決心とを抱いて、実際に親切な気高い心の医師のもとを訪れる場合である。

 マタイによる福音書九の二一・二二、マルコによる福音書九の二三・二四、ヨハネによる福音書五の一四。しかし、それが行われない時には、マタイによる福音書七の六の厳しい言葉*1や、マタイによる福音書八の二二*2のいましめが、同じようにぴったり適中することもまれでない。

 現代は、このような悲惨がひどくなっている。しかも、これを正しく判断し治療しうるような本当の働き人が、今もあまり多いとはいえない。マタイによる福音書九の三六―三八、同胞教会讃美歌六七六番。

 次の言葉は、あるシナの著者が言ったものだが、どの病院にも当てはまるだろう。「とりわけ必要なものは、愛の心だ! 無理に押さえつけるな、ぶちこわすな。……他の人びとをふみつけて、得意になるな。――むしろ、悩める人たちに慰めと助けとを与えよ。」

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫

マタイによる福音書

MATTHEW 9

指導者の娘とイエスの服に触れる女

21 「この方の服に触れさえすれば治してもらえる」と思ったからである。

21 For she said to herself, "If only I may touch His garment, I shall be made well."

22 イエスは振り向いて、彼女を見ながら言われた。「娘よ、元気になりなさい。あなたの信仰があなたを救った。」そのとき、彼女は治った。

22 But Jesus turned around, and when He saw her He said, "Be of good cheer, daughter; your faith has made you well." And the woman was made well from that hour.

新共同訳『新約聖書』ギデオン協会

マルコによる福音書

MARK 9

汚れた霊に取りつかれた子をいやす

23 イエスは言われた。「『できれば』と言うか。信じる者には何でもできる。」

23 Jesus said to him, "If you can believe, all things are possible to him who believes."

24 その子の父親はすぐに叫んだ。「信じます。信仰のないわたしをお助けください。」

24 Immediately the father of the child cried out and said with tears, "Lord, I believe; help my unbelief!"

新共同訳『新約聖書』ギデオン協会

ヨハネによる福音書

JOHN 5

ベトザタの池で病人をいやす

14 その後、イエスは、神殿の境内でこの人に出会って言われた。「あなたは良くなったのだ。もう、罪を犯してはいけない。さもないと、もっと悪いことが起こるかもしれない。」

14 Afterward Jesus found him in the temple, and said to him, "See, you have been made well. Sin no more, lest a worse thing come upon you."

新共同訳『新約聖書』ギデオン協会

*1:「聖なるものを犬にやるな。また真珠を豚に投げてやるな。恐らく彼らはそれを足でふみつけ、向きなおってあなたがたにかみついてくるであろう。」

*2:「わたしに従ってきなさい。その死人を葬ることは死人に任せておくがよい。」