蜀犬 日に吠ゆ

1901-09-06

[][]九月六日 謙遜は はてなブックマーク - 九月六日 謙遜は - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

 イザヤ書三八の一五*1。謙遜は、人間の心のあらゆる性質のなかで、おそらく一番生得の性質から遠いものであろう。人間は生来つねに、あまりに高慢であるか、あまりに臆病で小心であるからである。本物の謙遜は、自分のものでない力が与えられているという不思議な気持である。これは、あくまで力の実感であるが、しかしこの場合、この力が神の恩寵によるものだという意識をともなっている。したがって、これだけが無害な力の実感である。しかし、イスラエルの預言者が王に語らせているように、このような謙遜はただきびしい苦難の時期を堪えて初めて人の心に生じるものである。

 ヨブ記四〇の四・五、四二の一―六、列王記上一七の二四。

 こういう謙遜をそなえたときはじめて、人間は神から完き幸福を与えられる状態になっているのである。歴代志三一の二一。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫

*1:「しかし、わたしは何を言うことができましょう。主はわたしに言われ、かつ、自らそれをなされたからである。わが魂の苦しみによって、世にあるあいだ、つつしんで歩きます。」