蜀犬 日に吠ゆ

1901-09-29

[][]九月二十九日 困難な事件が起ったら はてなブックマーク - 九月二十九日 困難な事件が起ったら - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

 困難な事件が起ったら、第一に、知性を用いて、正しい道を見出そうと努めねばならない。第二に、完き叡知(神)にたずねることの可能性が信じられるならば、それを用いなければならない。次には、どんな自己愛・虚栄心・名誉欲・エゴイズム・我意・その他「古きアダム」のどんなお気にいりの性質にせよ、それがなにかと口を出さないように、見張らなくてはならない。そして最後に、いかなる種類の虚偽をもまじえてはならない。なぜなら、虚偽は悪の力であって、一旦これに屈服するときは、それは悪の権利となり、そこからはどんな善も生じないからである。このような前提がまもられるならば、すべての困難を克服することができる――ただしそれは、人間にゆだねられた、あるいは課せられた事柄の場合であって、自分勝手に選びとった困難の場合ではない。しかし自分で選んだ困難であっても、これらの前提条件をまもれば、大きな損害なしに切り抜けることができる。

 サムエル記二の九・一〇、一五の二二・二九、二二の四、三十の六―八、ヤコブの手紙一の五―七

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫