蜀犬 日に吠ゆ

1901-10-02

[][]十月二日 人生においてなによりもまず はてなブックマーク - 十月二日 人生においてなによりもまず - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

十月二日

 人生において、なによりもまず知らなければならないのは、自分が何を本当になしとげたいかである。そしてついにそれを知りえたなら(そのために人は通常、生涯の半ば以上をついやす)、この目標とともに手段をも得ようとしなければならない。

 だから、たとえば、神に身を委ね、そして神によろこばれる人(これが、クリスチャンという言葉を一般にわかりやすく言いかえたものである)になりたいと思うなら、苦難をも望まねばならない。そして、人間の自然のままの心が求める、絶えまない安逸な享楽を願ってはならない。こういう種類の苦難は決してやたらにたくさん来るものではなく、また、神との間が真にゆるぎないものとなれば、心配も絶望もつねになくなるので、多くのことに堪えることができる。


 自分の才能を高め、老年にいたるまで保っていたいと願うなら、多くの善事をなさねばならない。これが最も確かな方法である。


 正しい活動をするには、より完全な人になるよりほかなく、より完全な人になるには、善事に習熟するよりほかはない。たんなる知識や思索だけでは、だめである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫