蜀犬 日に吠ゆ

1901-10-30

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眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

 われわれはみな、生れながら「怒りの子」(エペソ人への手紙二の三)である。これは、自然のままの人間にあっては、老年になるといよいよはっきり現われてきて、そのため多くの老人は自分にとっても、他人にとっても荷厄介になる。

 決して弱さからでない真の温和と親切は、より高い生活に達したことの、最も完全な証明である。それは、その人自身の生活が「破滅の荒野」を通って、「婚姻」(神との親しい交わり)の約束の地に達したときに、はじめてその人に現われうる境地である。しかし、このことについてこれ以上語るのは、ほとんど無益である。それは別の世界から聞える声であり、その声にたいして開かれた耳はごく少ないからである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫