蜀犬 日に吠ゆ

1901-11-12

[][]十一月十二日 無気力と傲慢とはいずれも はてなブックマーク - 十一月十二日 無気力と傲慢とはいずれも - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

 無気力と傲慢(これはほとばしり出るほどの自負心と活力感である)とは、いずれも悪の霊によるものである。あなたが自分のうちにそれを気づいたならば、それがはびこらぬうちにすぐ断固としてそれから遠ざかるがよい。

 神から与えられた心情、それゆえ、できるだけつねに持ちつづけねばならない心情というのは、自分の弱さを自覚しながらも、なお、われわれをしてすべての行動と苦難に耐えさせる神の愛と力とにすっかり信頼しきった、穏やかな感情のことである。これこそ、精神的健康であって、単なる弱気や熱病的興奮とは反対のものである。

 このような精神的健康を十分に持たない時には、できるだけ行動を、たとえば手紙を書くことなども、止しなさい。そういう時には、いつでも中途半端な結果か、全然まちがった結果しか得られないものだ。ところが、とくに熱病的状態に陥ると、行動したいという誘惑が非情に強くなる。つねにそのような誘惑に抵抗しなさい。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫