蜀犬 日に吠ゆ

1901-12-13

[][]十二月十三日 キリスト教の信仰の最もすばらしい点は はてなブックマーク - 十二月十三日 キリスト教の信仰の最もすばらしい点は - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

 キリスト教の信仰の最もすばらしい点は、人間が自分自身の力をあてにしたり、自分と議論したりする必要がなく、ただ神のみを相手にすればよいことである。次に、神のこの上ない完全さも、双方にその意志さえあれば、きわめて不完全な存在である人間と親しい交わりを結ぶのを妨げるものでないことである。しかも、この交わりは、人間同士の友情にはるかにまさり、魂に十分な満足を与えるものである。

 悪が実際何であるかは、われわれには全く分らない。また、それを知ることにわれわれは堪えないであろう。われわれにとって、悪とは、われわれ自身の自由意志によって神との親しい交わりを断絶し、破棄することである。

 それの始まりは常に、神の約束や、神の言葉の真実を疑ったり、または、神の命令が実行可能であるのを疑うことである。そのような疑いは実際、しばしば見知らぬ者の声のようにわれわれの心に種が蒔かれるのである。そこから、不信、疑惑、最後に信仰からの離反がなされ、そのあとで後悔が生じる。しかし、信仰へ立ち帰る道はつねに開かれてあることを忘れてはならない。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫