蜀犬 日に吠ゆ

1901-12-19

[][]十二月十九日 無為の生活によって内的進歩をとげることはできない はてなブックマーク - 十二月十九日 無為の生活によって内的進歩をとげることはできない - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

十二月十九日

 この地上では、無為の生活によって内的進歩をとげることはできない。かりに修道院の生活がただ瞑想にふけることにあるとすれば、それは大きな誤りである。また一般に、多くのいわゆる「国内静寂派(シュテイレン・ランデ)」の人たちの誤りも同様である。われわれはまずみずからが、キリストを通じて神と正しい関係に入るによって、「地上の天国」に達しなければならない。しかし、それが実現したならば、そのあとは、他人をも同様にそこに到達するように助けてやらねばならない。これがすなわち、生きるということである。

 けれども、この後の方のことは、あまり早すぎてはならない。そうでないと「盲人(めくら)が足萎(あしなえ)の手をひいて、ふたりとも穴に落ちる」ことになりかねないからだ。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫