蜀犬 日に吠ゆ

1901-12-28

[][]十二月二十八日 最も明白な戒めでありながら、しかも一番守られない戒めの はてなブックマーク - 十二月二十八日 最も明白な戒めでありながら、しかも一番守られない戒めの - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

十二月二十八日

 最も明白な戒めでありながら、しかも一番守られない戒めの一つは、こうである、「あなたは、あなたの神、主のみ名を、みだりに唱えてはならない。主は、み名をみだりに唱えるものを、罰しないではおかないであろう。」(出エジプト記二〇の七)。この言葉は、信仰のない人に対してと同様、敬虔な人にもよくあてはまる。というのは、敬虔な人はある事を「神の国の事」として行うのだとしばしば主張するけれども、実は彼らが関心を持つのは、世間の称賛や名誉でなければ、むしろそれをする楽しみや派閥的利害である。ヨハネによる福音書五の四四。おそらくそのような原因からであろうが、ある近代の神学者(ヨハン・ベック)の伝記に、次のような、時にはなるほどとうなずける言葉が載っている。「上流社会の信心家ぶった人たちとは、彼らの奴隷に甘んじるものでなければ、仲良く暮らせない。」

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫