蜀犬 日に吠ゆ

1901-12-31

[][]十二月三十一日 ひたすら正義と善とに仕えよう はてなブックマーク - 十二月三十一日 ひたすら正義と善とに仕えよう - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)

 これからはひたすら正義と善とに仕えよう。しかもそうする機会が求めずして現われるに従ってそれをしよう、と、一旦固い決意を抱いたならば――これはたしかに、あらゆる「よい計画」のなかで最も理にかなったものである――、そうなれば、日も月も季節も年も、いや、生涯の終りの大多数の出来事さえも、気にかからなくなり、暦もほとんど無用な道具になってしまう。

 時間というものは、時間から主として享楽を期待して活動を期待しない者にとってのみ、価値と意味を持つのである。

 さあ、安心しなさい。あなたが、これまでと違った者になろうと真面目に思うなら、人間の知恵や教えなどなくてすませる時期が訪れるであろう。なぜなら、あなたは全くひとりでに、すなわち、浄められた本性のおのずから衝動と傾向から、いつも正義と善とを考え、かつそれを行うことができるからである。

 ダンテ『神曲』煉獄篇第二七歌一一〇―一四二行、ヨハネによる福音書一四の一六・一七。


 そうなったら、神があなたのためになされたご苦労に対し、また、ようやく目標に達したあなたの生涯について、神に感謝をささげなさい。

 では、その日まで御機嫌よう。また、そうなるために勇気をもちなさい。

 ただ、ただとえばアグリッパ王のように「あなたにはあわや説得されるところだった」(使徒行伝二六の二八)などと決して言ってはならない。このような冷淡な、中途半端な同意は、このアグリッパの実例(パウロの例はこれと正反対である)が示しているように、明らかな反撥よりも、なお一段と絶望的なものである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第一部 岩波文庫