蜀犬 日に吠ゆ

1919-02-08

[][]二月八日 どんなにささいなものをも浪費してはならない はてなブックマーク - 二月八日 どんなにささいなものをも浪費してはならない - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 どんなにささいなものをも浪費してはならない――時間でも、労力でも、また不必要な、仕甲斐のない事柄のための骨折りでも、活力や資力や金銭やその他の物資でも。これがらくに人生をすごす最もよい道である。

 それはまた神のみこころであもある。なぜなら、神は「秩序の神」であって、たとえ「天才的」なものであっても無秩序のもとには、神はとどまり給わぬからである。なんらかの無秩序のなかでかえってこころよく感じる者は、神との関係においてもきれいに決まりがついているとはいえない。この道理は、ある人の書いたものを見るよりも、彼の机の上を見る方が、よほどはっきりわかるであろう。

 しかしこう言ったからといって、単なる外的秩序の狂信者たちが、そのために神に近いなどというのではない。秩序を愛することは、それだけ単に障害が一つ減ったというにすぎない。もし彼らが秩序を愛するあまり、そのために他人を苦しめるならば、障害が減ったどころか、むしろ一つの悪魔の代りに、他の一層厄介な悪魔にとりつかれたというだけである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫