蜀犬 日に吠ゆ

1919-03-01

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 人間の真の偉大さは、その人が善の完き道具、あるいは――もっと明確にいえば――彼を通して語りかつ行い給う、神の例の完き道具である、という点にある。その人がこのことを自覚すればするほど、彼はますます確実に己れの道に徹し、いよいよ多くの事をなし遂げるであろう、たとえ世間の人が全然彼を理解せず、それともただ部分的に、しかも徐々にしか、理解しない場合でも。世間の理解などは大したことではない。それどころか、非常によい働きをした人びとすらも、たいていはその死後になって初めて世間に理解されたにすぎない。生存中は、彼らの自然的人間のある性質が、その内に宿る霊的人間のはたらきを妨げることが多かったのである。

 イザヤ書四二の一―一九に語られているような完全な「神のしもべ」は、きわめてまれであって、結局のところ、ただキリストにおいてしか存在しなかった。按手礼(カトリックの祝聖別、叙品式)とか教職叙任式によって、そのような性質が授けられるなどということは、もとより真面目に論ずべきことではない。

 ヨハネによる福音書一四の六*1・一〇*2・一二・一五・一七。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:「わたしは道であり、真理であり、命である。だれでもわたしによらないでは、父のみもとに行くことはできない。」

*2:「わたしが父におり、父がわたしにおられることをあなたがたは信じないのか。わたしがあなたがたに話している言葉は、自分から話しているのではない。父がわたしのうちにおられて、みわざをなさっているのである。」