1919-03-18
■ [書留][ヒルティ]三月十八日 たとえどんな種類の事柄でも 

- 作者: ヒルティ,Carl Hilty,草間平作,大和邦太郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1973/08/16
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 12回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
たとえどんな種類の事柄でも、そのことであなたが恐れを感じるかぎり、その事柄に関してあなたの内部にまだ欠けている何かがあるわけで、これはぜひ取りのぞかねばならない。恐れるということが、悪人やなまぬるい人間の弱みである。彼らは一生のあいだ恐れをのがれることができない。さもなければ、彼らは「光の子らより利口」(ルカによる福音書一六の八)であって、多くの点で光の子らにまさるであろう。しかし、恐れるところが悪人らの弱点であり、われわれはそれを計算に入れて決してまちがいない。そこで、ツィンツェンドルフ*1は彼の讃美歌の一つで、鋭い人間知の持主としてこう歌っている。
神に従う生活をしない者は、
ただ怖れにばかり支配される。
よく観察すれば、あなたはつねにこの言葉の通りだと知るであろう。これはさかさまに言っても同じである。あまりに小心で、人間恐怖の一ぱいの信心家などというのは、およそその名にふさわしくない人だ。こういう人はまだこの世と断っていないのだから、恐怖をいだくのも当然である。
ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫
*1:ツィンツェンドルフ(一七〇〇―六〇)、敬虔主義的な同胞教会の設立者、「心の宗教」を提唱。
コメント