1919-03-20
■ [書留][ヒルティ]三月二十日 愛がなければ、この世界は 

- 作者: ヒルティ,Carl Hilty,草間平作,大和邦太郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1973/08/16
- メディア: 文庫
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愛がなければ、この世界は、どんなに多くの自然美や芸術や学問が存在していても、まことにみじめな、不満足なものにすぎないだろう。人間は賢明であればあるほど、ますます強くこのことを感じ、いち早くそれがわかるにちがいない。ただ愚かな者だけが、生の享楽の緑の牧場で主人顔ができる間だけ、いましばらくたのしげに駆けまわっているのだ。
また別の種類の愚かな人は、神への愛がなくても、人間たちを、すくなくても二、三の人を「永遠に」愛し、そこに生涯の幸福を見出すことができる、と信じている。とにかく、この態度は比較的高尚な考えの人たちの陥りやすい欠点であるが、それがやや卑俗な形をとる場合ですら、この方が神の赦しを受けられやすい。ルカによる福音書七の四七*1。
ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫
*1:「それであなたに言うが、この女は多く愛したから、その多くの罪はゆるされているのである。少しだけゆるされた者は、少しだけしか愛さない。」
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