蜀犬 日に吠ゆ

1919-03-31

[][]三月三十一日 近づきつつある苦難の時代 はてなブックマーク - 三月三十一日 近づきつつある苦難の時代 - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

三月三十一日

 「たとい地は変り、山は海の真中(まなか)に移るとも、われらは怖れない。一つの川がある。その流れは神の都を喜ばせ、いと高き者の聖なるすまいを喜ばせる」(詩篇四六の二・四)

 これは、近づきつつある苦難の時代における、神を信じる者の安心感である。キリスト教がもしこのような勇気を呼び起さないなら、それはまだその生命力を十分にあらわすまでに到っていないのである。

 これはまた神の都の様(さま)でもある。(詩篇八七の三、イザヤ書一の二六、ヨハネによる福音書一四の二三、ヘブル人への手紙一一の一六*1、一二の二二)。聖アウグスティヌスは、これとは違う神の都を心に描いたが、それは世界を支配する教会として考えられたものであった。信仰の個人的な導きにまだ十分適していない人たちのために、このような神の都(教会)がこれまで存在してきたし、なお永く存在しつづけるであろう。

 その点でこれらの人たちをかき乱さないがよい。しかしあなたは、あなたに「委ねられたこと」をよろこぶがよい。テモテ第一の手紙六の二〇*2

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:「しかし実際、彼らが望んでいたのは、もっと良い、天にあるふるさとであった。だから神は、彼らの神と呼ばれてもそれを恥とはなされなかった。事実、神は彼らのために、都を用意されていたのである。」

*2:「テモテよ。あなたにゆだねられていることを守りなさい。そして俗悪な無駄話と、偽りの『知識』による反対論を避けなさい。」